• ISONAGA AKIKO

「絶対そんなことしちゃ駄目だ」/かなわない 植本一子(タバブックス)

最終更新: 2020年2月7日


版元のタバブックスのサイトには「写真家・植本一子が書かずにはいられなかった、結婚、家族、母、苦悩、愛。すべての期待を裏切る一大叙情詩」と紹介されている。


2016年に出版され、話題を集めたこの1冊を私が手に取ったのは2019年。

購入するときに賛否両論の本であることを教えてもらった。

途中で読めなくなる人もいると聞き、恐る恐るページをめくった。


でもそうした予備知識が覚悟になったのか、読み進めなくなるようなことはなかった。

著者の感情の表現にときどき鬱陶しさを感じたりしたけれど、子育てしながら仕事を続けることの葛藤や、実母との間のややこしい感情は共感するところが多かった。



印象に残ったのは「懺悔」の章。 プロのカメラマンでもある著者が先に約束した小さな仕事を、そのあとに依頼のあった大きな仕事を受けるために断ろうとする。それに対して夫である石田さんが「そんなことしちゃ駄目だ」とたしなめるという話だ。


自分が著者の立場になったらどうするだろうという思いと、

こんなにも潔いひとことがすっと出てくる石田さんへの尊敬の念。


でも著者が、好きな人ができたから別れてくれと告げたときは 「そんなことしちゃ駄目だ」とは言わないんだよなあ。


それが彼の軸なんだろうか。



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かなわない/タバブックス

定価 1700円+税

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